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ルネサンス

ルネサンスとはフランス語で「再生」を意味します。イタリアでの人文主義、ヒューマニズムの運動はすでに14世紀ごろから始まっていました。この動きに大きな影響を与えたのは東ローマ帝国の滅亡です。これにともない、ビザンティンの学者がイタリアに流入し、ギリシア哲学の原典などが西欧にもたらされたのです。こうした中、13世紀以降主流であったアリストテレス哲学に対抗し、フィレンツェにおいてプラトン哲学が台頭してきます。またそれとともに、パドヴァ大学などでは、反スコラ的な姿勢によって、アリストテレス哲学の新たな解釈が試みられました。さらに加えて、ストア派の思想なども復活を遂げます。ここに古代ギリシア哲学の「再生」が果たされたのです。

 宗教改革

聖書のドイツ語訳を完成させたルターは、個人の信仰と神との間に横たわる教会の存在を強烈に批判しました。免罪符への攻撃などにみられる宗教改革は、ドイツ神秘主義からの影響を多分に含んでいます。神秘主義はこれよりも早くからスコラ哲学を批判し、個人の内面性を主張してきました。これは人々の、教会からの解放と近代的自我の発展に大きく貢献することになります。しかし、外的権力からの制約を否定した神秘主義は、やがて宗教改革により発生したプロテスタントとも衝突するようになります。こうした皮肉の中、後期神秘主義者として、ベーメというひとりの靴職人が現れます。

ベーメの主張は、神の成立には否定的な要素が必要である、というものです。神そのものが認識されるためには、その対象である「否」に真理を映し出さねばなりません。したがって、闇は光を、悪は善を指し示すための対立物であり、しかもそれでいて、それらは一切として神の中に包括されます。そうした意味で自然も神のうちに含まれた存在であるとし、ここに神秘主義の汎神論的な一面をみることができます

 ブルーノ

ルネサンス期の自然哲学者としてブルーノの名が挙げられます。彼の思想に大きな影響を与えたのは、クザーヌスとコペルニクスです。クザーヌスは、限りなく巨大な円周は直線と一致するように、人間の有限な知では、無限の存在である神を捉えることはできない、とした人物です。神はこのような「対立者の一致」によって成立しており、人間はこれを「知ある無知」によってしか認識できないのです。またコペルニクスは地動説を唱えた天文学者ですが、彼はプトレマイオス的な宇宙観からは解放されておらず、つまり星々は有限の球体に埋め込まれていると考えていました。

ブルーノはふたりの思想を統合しました。彼にとって神は「能産的自然」であり、また世界は「所産的自然」です。宇宙は無限であり、神はそれら自然の中に内在しているのです。このような汎神論的な思想はキリスト教とは相いれず、結局宗教裁判によってブルーノは焚刑に処せられます。

 ガリレイ

ガリレイは望遠鏡を使って木星の衛星や月のクレーターを発見しました。これらは地動説への有力な裏付けであるとともに、これまで信じ込まれてきた天体の完全性を否定するものであったため、ブルーノ同様、宗教裁判にかけられました。死刑こそ免れましたが、彼らの近代自然科学への取り組みは、当時の宗教的世界観を破壊するほどの力を持っていたのです。特にガリレイが近代科学の成立に決定的な影響を与えたのは、自然を量的関係によって、すなわち数学的手法を用いて解明するという姿勢です。「この壮大な宇宙という書物は、数学の言葉と幾何学図形の文字で書かれている」というガリレイの思考は、物理学をはじめとした現代諸科学を、根底から支えています。

 ベーコン

ベーコンは有名なイドラ論を展開します。イドラとは幻影、偶像を意味し、彼は排除されるべきイドラを四つに定めました。ひとつ目は「種族のイドラ」で、人間本性そのものに根ざす誤謬です。感覚や人間共通の先入観などがこれにあたります。ふたつ目の「洞窟のイドラ」は、個人の習慣や教育などの洞窟が、視界をさえぎる様子をさします。そして三つ目は「市場のイドラ」です。人間の社会生活から生まれた言葉が、不適切な概念や抽象を作り出すことで生まれます。最後の「劇場のイドラ」は、誤謬に満ちた哲学、学説に由来するイドラです。これらは架空の舞台に他なりません。

ベーコンはそれと同時に帰納法を編み出します。けれどもそれは現代にみられるような単純枚挙によるものではなく、比較対象から形相を取り出す、という形式のものでした。これはガリレイのようなな数量的な思考ではなく、質料的なものであり、中世の思想からの決別には至りませんでした。しかし、「知は力なり」と彼が述べた通り、自然支配のための知識の獲得という姿勢は、ガリレイ同様、現代諸科学にまで貫く思想となっています。





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