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トマス・アクィナス

アウグスティヌスのあと、「スコラ学の父」と呼ばれたトマス・アクィナスが誕生するまでの数百年間、独創的な哲学は誕生しませんでした。ドミニコ会員でもあるトマス・アクィナスは、パリ大学をはじめ、生まれ故郷であるナポリなどでも活躍した人物です。12世紀末、十字軍の影響によって流入してきたアリストテレスの哲学をめぐって大きな論争が巻き起こる中、トマスはアリストテレスの学問に厳密な注釈を与えることによって、キリスト教神学の価値を証明しようとしたのです。

 純粋現実態

アリストテレスの唱えた、現実態と可能態という概念はトマスに大きな影響を与えます。トマスにとって神とは、「自存する存在そのもの」であり、存在が本質であるような純粋現実態です。したがっていかなる可能的要素も含みません。それに対して被造物は、本質と存在とが区別されます。事物はその本質に、存在するという現実態を神から与えられてはじめて実存するわけです。トマスは、神の本質に存在そのものを求めることによって、キリスト教的な神の解釈をそこに与えるのです。

 世界創造

アリストテレスは第一質料の存在は永遠であるから、世界もまた永遠の存在であると考えました。それに対してトマスは第一質料すらも神によって創造されたとします。アリストテレスは世界の根源を不動の第一動者と第一質料とのふたつに求めわけですが、トマスにおいては、神はそれらをともに創造するのです。そのため、神は無に存在を与えることによって世界を存在せしめ、「無からの創造」を果たすのです。

しかし彼は、「世界が始まりを有していたということは信ずべきことであるが、しかしそれを、論証や知性によって認識することはできない」としました。ゆえに私たちはただ啓示によって世界が始まりを有したことを知るのみであって、それがいつどのようになされたかについては知るすべを持たないのです。ここに理性の限界が示され、これは近世においても重要な課題となることになります。

 トマス・アクィナスの本

『神学大全』『対異教徒大全』『命題論集注解』など





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